要約
書記は、ファシリテーションをして、議論を引っ張りやすいポジションになります。書記は構造的な議論になるようにガイドできますし、発表の際に画面共有する資料の作成も担えるからです。
ただし、書記就任にはリスクがあります。第一に、議事録に脳のリソースが割かれ、議論での存在感が低下するリスク。第二に、自分勝手に議論を歪めてしまうリスク、です。
書記が主導するファシリテーションの可能性
(1) 視覚的な論点設計
書記がグループディスカッションを実質的に仕切ることは、可能です。なぜなら、グループディスカションで、何を論点にするかをドキュメント作成を通じて明確にすることができるからです。
グループディスカッションでありがち失敗なのは
・必要以上に特定の論点に執着してしまう
・話すべき論点が抜ける
・話している論点がずれる
です。この失敗は、構造化された議事録によって浮かび上がらせることができます。
(2) 発表を補足するアウトプットの作成
また、グループディスカションの最終的なアウトプットは
・発表者のトーク
・画面共有するドキュメント(※ない場合も多い)
によって決まります。その点で、書記はアウトプットの見た目を決定する重責も担っています。
(3) 実は権力者? 共産圏の事例
共産圏の最高指導者は「書記」です。。例えば、ソビエト連邦共産党書記長、中国共産党中央委員会総書記、朝鮮労働党中央委員会総書記ですね。書記が最高権力者になる伝統は、ソ連のスターリンから始まったようです。身分でも、選挙でも、学力試験でも差別化できない状況下では、議論の最終的アウトプットを決める書記が最高権力者なのかもしれません。
ダメな書記:発言録
ダメな議事録の具体例をあげましょう。ただの発言録はGD中もGD後も誰も読みません。
【ダメな議事録】
Aさん:GDにはファシリ、タイムキーパーがいる
Bさん:発表者もいるよね
Cさん:書記になることのメリットは、要点を浮かび上がらせることだね
Bさん:抜け漏れもわかる!
(書記「頑張って議論を整理してるぞ!」)
(書記以外の人「うーん。読みづらいから読まなくていいや。議論に集中しよう」)
良い書記:構造化された議事録
一方で、明確な論点設計がなされ、構造化されている議事録はGD中も参照されますし、発表の際にも使うことができます。
【イイ議事録】
・お題:GDで書記をやるべきか?
(書記の人「プラス評価(量・質)」「マイナス評価」「その他」で構造化して考えよう」)
・プラス評価基準:書記就任で量の面でバリューを出せるようになるか?
-抜けている論点が指摘しやすくなる
・プラス評価基準:書記就任で質の面でバリューを出せるようになるか?
-重要な論点を浮かび上がらせられる
・マイナス評価基準:書記就任でバリューを出すのを阻害されるか?
-(書記以外の人「書記が抜けてる部分をアピールしてくれてる。ここが抜けているから今から議論しないといけないのか」)
・その他
-議論の最終アウトプットを決定できる
・まとめ
-結論:~
-主な理由:~
書記就任のリスク
ただし、書記就任には2つのリスクがあります。
第一に、議事録作りに脳が使われ、実際の議論での存在感が低下してしまうリスクがあります。この場合は、ファシリか発表者と兼任していないと、面接官からの評価は低くなってしまいます。そのため、書記を回避するようにアドバイスする方もいらっしゃいます。たしかにある程度のタイピングスキルは必要でしょう。
第二に、論点設計が的外れだと、GDの現場を混乱させてしまうリスクがあります。これは、書記にとってではなく他のGDメンバーにとってのリスクです。自分が言った意見が書記によって曲げられますし、書記の理解力と柔軟性がないとチーム全体の議論が硬直化します。自分が民意を汲みとれない書記だと感じたら、書記によるファシリの裏ボスを辞任してください。
結論
書記は、議論のアウトプットを決定する権力者です。少し難易度は高いですが、構造的な議論をコーディネートし、アウトプットを作り上げられるので、高い評価につながる可能性があります。
一方で、リスクもあります。議事録作りで議論がおろそかになるリスク、書記によるファシリで民意が捻じ曲がるリスクです。そのときは、次期書記就任は諦め、今期書記によるファシリは辞任しましょう。
さいごに
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執筆者と免責事項
書き手=東大支部24卒メンター
※記事は執筆者の個人的見解であり、エンカレの公式見解を示すものではありません。
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